クロスインデックスの通訳・翻訳コーディネーターの雑感
逐次通訳者の手と頭
[2010/06/04] 翻訳と並んで言語に関する職業の代表格ともいえる通訳。翻訳にも字幕翻訳、ナレーション翻訳など様々あるように、ひとくちに通訳といっても、ウィスパリング通訳、同時通訳、逐次通訳などいろいろな種類があります。逐次通訳は、語り手の話を適宜区切って順次通訳していきます。
「通訳」と言われて思い浮かべるのが、この逐次通訳という方も多いと思います。TVなどで、外国の俳優や企業家の言葉を逐一よどみなく日本語に置き換えていく姿をご覧になった方は多いでしょう。とても自然で当たり前のように展開されるこの逐次通訳ですが、複数の入り組んだトピックを、比較的短い時間で聞き手に分かりやすく伝えるために、逐次通訳者の頭の中はフル回転しています。機会があったら、通訳者の手元も見てみてください。頭の中と同じように、その手はメモをとるのにフル回転しているはずです。その運動量はもしかしたら翻訳の作業並み?通訳者の手は、常にその頭と共同作業をしているのです。
(T.T.より)
同時通訳と資料
[2010/06/04] 同時通訳者を手配する時、通訳者の皆様から頂くのは、「まずは資料を」というお言葉です。業務の背景となる資料や、直接必要となるpptの資料、席次、名前のスペルと発音、出席者一覧、称号(Dr.やPro.、Sir.など)。アサインする際に、当該分野に元々知見を有する同時通訳者を手配することはもちろんですが、それ以上に、世界は常に動いており、同時通訳者の知識、元々知っていた単語が変わっている可能性もあります。
ご列席の皆様は、それぞれの専門家でいらっしゃる場合もあれば、一般市民の場合もあります。他方、同時通訳者はその業界の通訳経験が豊富であっても、「その道」の専門家、つまり業界関係者ではないため、出来だけ早く資料に目を通し、自分用に調べ、翻訳し、業務に望むのが通常です。
例えばドイツ語の同時通訳者の場合、日本語しか資料がない場合、必ず英語とドイツ語に翻訳される方もいらっしゃるそうです。翻訳、というかメモ程度のものですが、それだけ言語の対比=翻訳は、必要なものなのです。どんな言葉が飛び出すか分からない会議の現場。突然出てきた用語を、即座にどう訳出するかの瞬発力は、対比できるもの(翻訳物)があって、初めて養われるのです。
(K.M.より)
イタリア語添削の現場から
[2010/06/04] 美しい文字で「大平洋」と書いた生徒に、先生が言いました。「テンデだめだ」。たかが点、されど点。
イタリア語添削のお仕事では、細かい表記の統一性にも配慮を心がけております。例えばイタリア語では、3桁毎の数字の位(千の位、百万の位など)はpunto(英語でいうperiod “.”)で区切り、小数点にはvirgola(英語でいうcomma “,”)を用いるのが標準です。日本語とは正反対です。そのためイタリア式に表記された数字が日本語の文章の中に配されていると、視覚的に違和感があるだけでなく理解の妨げにもなり得ます。国際ビジネスがますます盛んになっている現在、ISO(国際標準化機構)やIEC(国際電気標準会議)の規約では小数点には「.」を使用すること、との明記があるようです。しかし、それでも日本式の1,234,567.89を1.234.567,89と表記するのがイタリア語の一般的な習慣です。イタリア語添削の際には、文章を読まれる方にとって心地よい訳文を提供するため、細かいイタリア語表記も添削させて頂いております。因みに桁の区切りと小数点に関して日本語式の表記を選択している国には日本、オーストラリア、カナダ(英語話者居住地域)、中国、インド、イスラエル、韓国、北朝鮮、マレーシア、メキシコ、フィリピン、シンガポール、タイ、台湾、英国、米国などが挙げられます。
言語を専門に取り扱う我々の、外国語の表記方法に対する関心は尽きません。今後も研究を重ね、常に最新のスタイルに基づいたイタリア語添削をご提供して参ります。
(A.K.より)
イタリア語翻訳こぼれ話
[2010/06/03] 先日イタリア語の文書を翻訳させて頂いている中で、CVという言葉を取り扱いました。その文書は再生可能エネルギーをテーマにしたものでしたので、ここでの"CV"はCertificato Verde(グリーン証書)を意味していました。その他、CVという言葉はCavallo Vapore(馬力), conto vendita(売上帳), con la voce(音声で)を意味することもあります。ですがCVと聞いて最初に思い浮かぶのはCarriculum Vitaeかも知れません。こちらはラテン語由来の言葉でcarriculumは履歴、vitaeは人生を意味します。イタリア語に翻訳すればcarriculumはcurricolo、人生はvitaですから殆どラテン語と同じです。それもそのはず、イタリア語という言語がフィレンツェ地方の方言を土台にダンテによって確立される14世紀初頭まで、イタリアの学界における標準言語はラテン語であり、イタリアの出版物は全てラテン語で書かれていたほどなのです。
こういった古いラテン語文書をイタリア語に翻訳するといったお仕事にもクロスインデックスは日々対応しております。昔の錬金術師が書き記した、現代の化学の考え方とは異なる論理などをラテン語から日本語に、またはイタリア語に翻訳して読み解く作業には、翻訳力に加え、調査力、また時には時代背景も加味し、正しい翻訳をご提供するための想像力をも働かせ、全力で取り組んでおります。非常に価値のあるお仕事をお任せ頂いていると光栄に存じております。
(A.K.より)
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